桧山冬実は脳外科の第一人者で聖カタリナ総合病院の勤務医。目下の興味はウィリス動脈輪閉塞(へいそく)症について、自らが考えた最新の手術法だ。それは日本の医学の将来を変える術式と自負するほどだった。
 一方、伊波さやかは医療コーディネーターの中原永遠子のもとを訪れる。半年も頭痛が続いているため、専門医を紹介してもらおうと思ったというさやかに永遠子は冬実を推薦する。
 後日、冬実のもとを訪れた永遠子とさやかは、精密検査の結果によっては手術が必要だと告げられる。退室の際に永遠子は冬実に「わたしのこと、覚えてらっしゃいますか?」と問いかける。10年前、看護師だったころ永遠子は冬実と働いた経験があり、冬実に「人の命には優先順位がある」と言われたことがあったのだ。
 精密検査の結果、さやかはウィリス動脈輪閉塞症患者だということがわかり、冬実は早々に手術室を抑えるよう看護師に指示する。
 その矢先、第一助手をつとめる予定だった真田拓馬が右手を負傷してしまい日比野信吾が助手を担当することになった。また執刀医である冬実も同居するアルコール依存症気味の姉が暴れたため、寝不足で手術当日を迎えることになる。
 しかし、冬実の技術は助手を務める日比野、麻酔科医の中村真彦も感嘆するほどだった。そんな時、入院中の経済界の大物がくも膜下出血を起こしたためさやかの手術を切り上げ、そちらを担当するように冬実に指示が入る。だが、冬実はそれを無視して手術を続け、閉頭をすれば終了というところまでたどり着く。あとを助手の日比野に任せ、隣の第2手術室に滑り込むのだった。
 第1手術室から出てきた日比野が悠と永遠子に手術は成功したと告げる。執刀医であるはずの冬実がいないことをいぶかる永遠子の目に、第2手術室で執刀を終えた冬実の姿が飛び込んでくる。永遠子はなぜ別の手術室から冬実が出てきたのか詰めよるが、冬実は両方とも責任を持って手術し、両方とも成功したと答えるのだった。
 その夜、さやかの容体が急変した。冬実が到着したとき、さやかはすでに心肺停止の状態だった。必死で蘇生(そせい)を試みる冬実。看護師だった永遠子を巻き込んで心臓マッサージを続けるが、さやかは亡くなってしまう。永遠子は冬実に、医療コーディネーターとしてさやかが死に至った原因を徹底的に追求すると告げるのだった。

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