4月14日に新潟・朱鷺メッセで卒業コンサートを行うNGT48北原里英(26)が1日、東京・AKB48劇場での最後の公演を行った。元AKB48で、10年前のこの日にここで劇場デビューをしていた。記念日に集めたのは、気心の知れた仲間たち。同じAKB48第5期生からは、HKT48指原莉乃、AKB48宮崎美穂、JKT48近野莉菜、卒業生の石田晴香、内田真由美、小原春香、中塚智実、仁藤萌乃。そしてデビュー当初に同じ寮のマンションに住んでいた北原(愛知県出身)と同じ、地方出身メンバー(通称・地方組)のAKB48大家志津香と横山由依。加えて、ゲストにNGT48の後輩の西潟茉莉奈、山口真帆、村雲楓香が出演した。
「10年前を思い出しながら、楽しみましょう」と言って、1曲目は“地方組”の指原、大家、横山と4人で「帰郷」を披露した。そのまま、かつて北原、大島優子と指原、横山で結成していたユニットNot yetの「週末Not yet」も熱唱した。MCを務めた大家と横山は、「当時はお金がなくて、コンビニのカップケーキに火をつけた綿棒を差して、(AKB48の誕生日ソング)『涙サプライズ』を流してお祝いしてくれた」(大家)など、秘話を明かした。
4曲目には、08年の北原が研究生時代の「ただいま恋愛中」を5期生の9人で歌った。宮崎は「エモいっすね。10年って大きいね」と、息を切らせて感慨に浸った。3月17日にインドネシア・ジャカルタJKT48劇場で卒業公演をする近野も「現役でこのAKB48劇場に立つのは私も最後です」とあいさつした。指原は「私たちはバラバラに活動したから、特別な絆もないし、持ち曲もないし、デビュー日もバラバラだったよね」。来月30歳になる小原は「みんなに会ったら一気に10年前に戻った。オーディション受けたころに戻った」。焼肉店を経営している内田は「毎日、肉焼いてる」と笑わせた。
ユニットコーナーでは、08年8月の日比谷野外音楽堂コンサートで、北原、指原、宮崎、仁藤の4人で挑戦していた「ガラスのI LOVE YOU」を復活させた。当時のAKB48が勝負をかけていた大きなコンサートで若手の中から抜てきされて、ファンの間では「次世代の選抜候補たち」と呼ばれて、飛躍のきっかけとなった思い出の歌だった。さらには、10年前のこの日にバックダンサーでデビューした曲「純情主義」を、同じバックダンサーで再現。当時の北原が、ファンの間で「研究生に美少女がいる!」と話題にもなった曲だった。
その後も「純愛のクレッシェンド」「君が教えてくれた」「制服が邪魔をする」といった、研究生時代の曲を続けた。北原は「(リハーサルも含めた)この2日間は、タイムスリップしたみたいでした」と、若かりしころの思い出を思う存分振り返った後、本編のラストは、「桜の花びらたち」から、地方組でのチームK時代の締めの曲「引っ越しました」へ。親友の指原に涙ぐまれる中、紙テープを客席に投げると、北原の瞳も潤んでいった。AKB48からNGT48へ移籍した、自分のアイドル半生も重ねて歌った。
アンコールは、前田敦子の卒業ソング「夢の河」。前田が東京ドームで卒業した時には、白い大きなゴンドラの船に乗っていたが、北原は段ボールの船に乗ってステージ中央へ。実は、かつて地方組の一員だった小森美果の13年の卒業時に、テレビ番組「AKB映像センター」で指原たちと自宅で同曲のパロディーを撮影していたことを、再現したもの。アンコール直前に流した10年を振り返るVTRの中にも、その映像を前フリとして混ぜていたため、観客は大爆笑だった。
最後のあいさつでは、近野は「最後にやり残したことは何かなと考えたら、同期の顔が浮かび、そのみんなでこの秋葉原の劇場に立てて良かったです。今日は一生の宝物になりました」と喜んだ。北原は「この公演をやったら卒業を実感するのかなと思っていたのに、昔一緒に頑張っていたみんなとリハーサルをしたら、当時の気持ちを思い出して、逆に遠ざかった感じがしています。でも、これで秋葉原に立てなくなると考えるとさみしいです。ただ、この公演を見てほしいと思う後輩ができて、彼女たちを呼んでいたり、見に行きたいと言ってくれたスタッフさんがいっぱいいて、愛してもらってたんだと実感することができてうれしいです。悔いなく秋葉原を去れそうです」とあいさつした。
そして最後は、やはり研究生公演の時のラストソング「なんて素敵な世界に生まれたのだろう」をチョイス。「この歌を歌うと、当時のことが走馬灯のように思い出したね」(指原)。壮大なラブソングを、北原も仲間たちの多くも大粒の涙を流して歌い、思い出の詰まった劇場にサヨナラを告げた。
日刊スポーツ
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