元AKB48田名部生来(24)のコラム「『国民的窓際アイドル』と呼ばれて…」が東スポWebでスタート! 7月に10年以上在籍したAKBを卒業。同期の渡辺麻友(23)、柏木由紀(26)が“神7”として国民的アイドルに成長する一方、総選挙でほとんど圏外…付いた肩書は“干されのカリスマ”。涙々の苦労人が自身の半生、現在、未来を語り尽くす! コラムスタートを記念して「国民的窓際アイドル」だった田名部が卒業した心境をぶちまける。皆さん、ハンカチの用意をどうぞ――。

――7月23日の最後の握手会で、AKBとしての活動を終えた

 田名部:握手会のすごく短い時間の中で、ファンの方からたくさん「ありがとう」を言ってもらえて。「応援しがいがあったし、私たちも楽しんだ」と伝えてもらえた。顔を見ただけで泣けるような、菩薩のようなファンの方も多かったので。こんなふうに応援してくれてたんだって感じました。「僕もAKBを卒業します」と言う方もいましたし、同い年のファンの女の子はお母さんになってる方もいた。ファンの方と同じ年月を過ごしていたんだなと感動しましたね。

――メンバーとして10年以上を過ごした

 田名部:あっという間すぎて…。一つひとつの思い出は濃かったけど、すごい自分の体感としては一瞬。一瞬で年を取ってという感じですかね。でも、劇場公演は800回以上出ましたね(出演回数は歴代2位)。

――大変なことも。いくつか挙げるとしたら

 田名部:干され(メンバー)と言われてましたけど、自分の中では落胆せず、どん底にいるからこそ上がるしかなかった。ファンの方に「メッチャ楽しいじゃん」と思ってもらえることをやることで自分の心も保たれた。私の家族もファンの方も「一緒に階段一つひとつ上がっていこうぜ」と思って、上がっていく素晴らしい人生だったなとは思いますね。でも、落ち込んだ回数は多かったですね。

――それは

 田名部:総選挙で本当にランクインしたかった時があって(第4回選抜総選挙)。速報順位では一番最後にランクイン(64位)したんですけど、本番で呼ばれなくて。あれは落ち込みましたね。

――どのくらい

 田名部:家中、叫んで走り回って。悔しくて…自分の腕をかむぐらいでした(苦笑い)。あとは、アニメ「AKB0048」の声優オーディションに落ちた時。アニメが好きなので、その時も暗闇をけっこう走り回った気がします(笑い)。

――同期には“神7”として選抜常連だった渡辺麻友さんや柏木由紀さんがいた

 田名部:はい…。まゆゆ(渡辺)が選抜に初めて選ばれた時かな。デビューして間もない時期だったので、その時はちょっと恨んでましたね(笑い)。麻友、あの時はごめんなさい! 今は大好きです。

――渡辺さん、柏木さんはどんな存在だった

 田名部:私と同じ人間なんですけど、アイドルとして完成度が高い。私も本当はずっとそっちに行きたいと思ってました。私もオーディションの時はけっこう注目されてたんですよ。「この子、推されるんじゃないか」と2人も思ってたみたいですけど、意外とそうでもなかった…。

――失礼ですけど、そうだったんですか

 田名部:そうだったんですよ! オーディションの合格発表前、私一人だけ偉い方にエレベーターの前に呼び出されて。「本当に上京できますか?」と言われたんですよ。「ああ! これが芸能界だ。デキレースなのか!」と(笑い)。「あの子が一番推されるんだよ」と麻友もゆきりん(柏木)も思ってたみたいですけど、そうでもなかった! あれ、なんだったんですかね…。

――10年以上もAKBをやってこれた理由は

 田名部:途中までAKBのお仕事しかなくて。とにかく自分のことしか考えてなくて、ファンを増やすことでいっぱいいっぱい。握手会やブログも頑張ったりすることしかできなかった。AKBとして名前を生かしていろんな幅広いお仕事をさせていただく中で、AKBの田名部生来として外の仕事で楽しんでもらえることもどんどん増えていった。AKBにいていいんだなと思えて。

――ソロで活躍する場も増えた結果、「第6回AKB選抜総選挙」で初めてランクイン(71位)。壇上スピーチで「ドッキリでしょうか!」と土下座しました

 田名部:AKBとしても総選挙で結果を出せて、去年はじゃんけん大会で優勝できた。じゃんけん大会で優勝した時、1番気持ちいい時期に卒業できるかなと自分の中でプランができた。10年やってきたのも、自分の成長にもつながったし、次のステップのために、と。ここまでつらい経験をしたら、ちょっとやそっとのことで傷つかないし、今は我慢できる強さが身についた。AKBにいてよかったなと思います。

――そんなにつらいことがあった

 田名部:たぶん、他の子だったら辞めてるだろうなということも…。私は総選挙で圏外だったら、卒業しなきゃいけないと思ってました。握手会などですごくお説教されることもあって。ファンの方に「お前はなんでAKBにしがみついてるんだ」と説教されたりも(苦笑い)。あとはネットの書き込みとか。

――改めて卒業を決めたきっかけは

 田名部:もともと10年はやりたいなと思っていた。AKBに入った時は3日で辞めたいと思って、最初のころはレッスンがつらすぎて、辞めたいとずっと思ってましたけど。じゃんけん大会で優勝した時に「ああ、これで私は大きな門出を迎えた」みたいな(笑い)。優勝って、すごく気持ちのいいもんなんだなって。自分の拳一つで勝ち取ったものなので。「これだ」って決心がつきました。

――同期に見送られたいという気持ちも

 田名部:それはありました。一人残されるのは嫌だなと。まだまだ麻友とゆきりんは頑張ると思ってたんで「ここは先に」と思いました。卒業を決めた時もまずは2人に相談して。本当は場がしんみりしちゃうので、劇場公演で(卒業発表を)したくなかったけど、2人が「私たちのいる場でして」と言ってくれたので、その言葉に甘えて2人がいる劇場公演で言わせてもらいました。

――後輩たちも卒業を寂しがった

 田名部:後輩たちに「好きです」と言ってもらえて。私自身も先輩にかわいがってもらう感じじゃなかったし、後輩に慕われるほど何かをしたってわけじゃないけど、「好きです」って言ってもらえて。よかったなと思いましたね。

――なぜ後輩たちが

 田名部:後輩にとって自分に近い先輩が意外と減ってきていたのもあるのかな。公演で一緒になっても、麻友やゆきりんだとみんな話しかけられないと思うんです。私は楽屋が暗いとやっていけないタイプで、自分から話しかけたり、変なことをしたり、アイスを買って行ったりしてて。

――後輩に気を使いますね(笑い)

 田名部:夏の公演は暑くて乗り越えられないんですよ。1日2回公演だとみんなでアイスを買いに行ったり。「なんでも相談して」と言ったら、小さなことでも相談してくれるようになって。それで、かな。

――劇場公演は歴代2位の出演回数を誇った

 田名部:最初のころは、1人か2人くらいがコールしてくれて「あ、今日は私のファンの方がいる」と確認するぐらいだった。最終的に卒業公演で割れんばかりの大声援をいただいて。こんなに私のファンの方がいたんだ、と驚きと感動があって。本当に劇場(収容人数)の250人みんなが私の知ってるファンの人で…うれしかったですね。ここまで応援してくださる方が増えたんだなって実感できて。

――田名部さんにとって公演は

 田名部:大切でした。AKBは公演がなくなったら終わってしまうんじゃないかと思うぐらい。絶対、続けてほしいなと思います。卒業した子と「OG公演をやりたいね」と話してて。何年後かにメンバーもファンも集まれたらなって。卒業した子は「未練があるのは、劇場公演に出れないこと」と言いますけど、私も劇場公演に出れないのは寂しいですね。

――今後は

 田名部:もともとアイドル志望ではなくて、お芝居をずっとやってみたくて。舞台に出たりしてきたので、ちゃんとやりたいなと思いますし、そのための努力もしたいです。女優さんと自分で言えるキャラじゃないけど、お酒も好きだし、趣味を生かせる仕事もどんどんしたい。女版・吉田類さんも目標ですね(笑い)。

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