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 女優の芳根京子さん主演の映画「Arc アーク」(石川慶監督)の本編映像が6月29日、公開された。今回公開されたのは、本作を映像化するにあたって最大の難関だったという「プラスティネーション」のシーン。最愛の存在を亡くした人々からの依頼を受け、故人やペットを在りし日の姿のまま永久に保存する「ボディワークス」の制作の仕事に就く主人公・リナ(芳根さん)。その制作の仕上げとして、顔や手の角度、視線など最終的なポーズを“あやつり人形風の装置”を使って決めるという、今までに誰も見たことがない新しい映像表現に挑んだシーンだ。

 石川監督は、世界的作家のケン・リュウさんの原作にある「あやつり人形の製作に少し似ていた」という表現に、映像化するにあたり“舞”の要素を取り入れることを思いついたといい、美術チームと振り付けチームは石川監督の規格外な発注に答えるべく試行錯誤を重ね、最終的にロケ地となった芸術的価値の高い香川県庁東館のロビーに、そのまま巨大なあやつり人形風のセットを組み立て、ストリングスをクロスさせたり、ターンを入れたりと、視覚的なメリハリを重視したオリジナルの“舞”を作り上げた。

 舞台は揃ったが肝心の芳根さんはダンス未経験。芳根さんが挑戦する少し前に同じセットで撮影したリナの師であるエマを演じる寺島しのぶさんは、前もって動画で確認していた“舞”を難なくクリア。それどころか現場で自らアレンジも加えて、完璧なエマ像を体現。そのエマから地位を引き継ぐリナを演じる芳根さんは「『どうしよう、この後にやるんだ』と思って絶望しました。普段は役として追い詰められていますが、今回は完全に芳根京子が追い詰められて、芳根京子が慌てていました」と撮影を振り返り、「自分のレベルの足りなさを感じて、間を見つけてはたくさん練習をしました」と明かしている。

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