岩下志麻(いわした しま)
俳優の父・野々村潔と元新劇女優の山岸美代子の長女として生まれた。17歳の時に精神科医への道を志すも体調のせいで断念。気分転換にと1958年のNHKドラマ『バス通り裏』に十朱幸代の友人役として出演。これが女優人生の始まりだった。
松竹には1960年から1976年まで16年に渡って在籍し、その屋台骨を支えた。1962年には小津安二郎監督にとって遺作となった『秋刀魚の味』のヒロインに抜擢され、そのラストを締めくくった。小津は次回作『大根と人参』も岩下をヒロインに想定して構想を練っていたという。
1966年、映画監督の篠田正浩と結婚。2人で「表現社」という独立プロダクションを立ち上げる。『心中天網島』『無頼漢』『沈黙 SILENCE』などの作品を発表した表現社は軌道にのり、岩下は1973年に長女を出産。女優、妻、母という3つの顔を持ったことで悩むことが多くなり、2年程は鬱々とした時期を過ごすが、1977年の『はなれ瞽女おりん』で、おりんという役を演じきったことで達成感を得て壁を破り、女優を続けていく覚悟を決めた。
40代に入ってからは映画『極道の妻たち』シリーズへの出演が有名(この間制作された10作品中8作品で主演)。
2000年に発表された『キネマ旬報』の「20世紀の映画スター・女優編」で日本女優の10位に選ばれた。
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