[Medical Student plays Chopin] -No.1-
Chopin : Etude in E flat major op.10-11
by Masao Takahashi : Concertpianist, Bachelor of Medicine
医学部を休学し、ウィーンでピアニストProf. Joo Ann Koh の元で本格的に音楽を学び初めてから、1年たらずの頃、無謀にも2000年のショパンコンクールに応募する為にレコーディングした演奏です。
貧乏学生だった私は音楽院のホールを借りるにも、録音技師を頼むにも最低限の金しか出せず、ピアノは調律されていないまま、録音時間もギリギリ、音のバランスやミスタッチを編集する金もありませんでしたので、市販の編集・加工されたCDとは全く、違います。
ホールのエアコンのノイズを消すことも出来ない予算で収録した為、2月の夜8時~9時の氷点下になる中で演奏したものです。
鍵盤がとても冷たく、指先も通常の感覚がない程に冷え、何とか演奏したといった感じです。
エチュード2曲、ノクターン1曲、バラード1曲、スケルツォ1曲の計5曲を送ることが応募の条件でしたので、せいぜい3回(編集できない為、最初から最後まで演奏)撮り直すのが精一杯でした。
そういった焦りもあり、私の悪い癖が際立って現れていますが、自分の演奏を客観的に聴いたことで、その後、どこを直すべきかが解り、1年後の2001年5月の国際ピアノコンクールで入賞することが出来ました。
自分の演奏を客観的に聴くことで、自分の悪い癖や欠けているテクニックなどを自覚することができます。
5月末の国際コンクールで入賞し、やっと、スタートラインに立ったところで、医学部休学のリミットが迫り、9月1日からは医学生に戻りましたので、その後、プロに頼んで、ホールで録音する機会がありませんでした。
このときに収録した5曲を私の最後の録音にしたくはありません。
私が音楽評論家であるなら、「未熟な音楽院生の余裕がない、下手な演奏」と言うでしょう。
この曲を練習している方は私のこの演奏を「悪い例」として捉え、アルペッジョはもっと優雅に、表情豊かに、そして、時間に追われて早く演奏を終らせなければ!という焦りを感じさせない演奏を心がけて頂きたいと思います。
このエチュードの美しさには限界がありません。是非、限界を感じさせない演奏をして下さい。
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