―――「ここほれ わんわん。ここほれ わんわん。」おじいさんは、不思議に思って掘ってみると…
畑の中からざっくざくとたくさんのこばんが出てきました。 ――――
誰もが知っている日本の童話「花さかじいさん」を松本絵里がリメイクして登場。

著者 松本絵里
音声 日本国際童謡館 そがみまこ
制作 株式会社ZUBON
対象 6~7歳
ジャンル 昔話

●作者プロフィール
松本 絵里 (まつもと えり)
東京都出身。国際基督教大学卒業。在学中よりTV番組の通訳の仕事をしながら、イラスト絵本を学ぶ。

  1986年 講談社絵本童画グランプリ 入選
  1987年 より 2004年まで朝日小学生新聞でイラスト「たんけんめがね」を連載
  1994年 より so you で「旅行大好き!」海外編 を好評連載中
  2001年 「こらまて せいそうしゃ」(作/武谷千保美 絵/松本絵里)でキッズエクスプレス21創作絵本大賞 受賞
  2007年 より公益社団法人全国ビルメンテナンス協会主催のこども絵画コンクール審査員を務める
  2011年 より2014年6月まで 月刊食育で「初心者でも作れる簡単野菜マスコット」を制作連載

絵本作品:
 書籍
「おおきくなりたかったぶうたくん」(バンダイ)
「モモたんのクリスマス」(サンパウロ)
「しょうぼうしゃをさがせ」(PHP研究所) (作/武谷千保美 絵/松本絵里)
「ひつじさんのバッグ」(鈴木出版)(作/松本絵里 絵/森川百合香)
「そらくんのビルたんけん」(公益社団法人全国ビルメンテナンス協会)
 電子
「メルさんのおさんぽ」ほか、メルさんシリーズ、
「いっすんぼうし」「はなさかじいさん」「きららちゃんのたなばた」
「みんなでピクニック」(以上、PIKAPU)
「こらまてせいそうしゃ」(作・武谷千保美、絵・松本絵里)(PHP研究所)
などがあり、意欲的にデジタル絵本の普及に取り組んでいる。

●作者公式サイト
http://www.eri-m.jp/

花咲かじいさん
文・絵 松本絵里

むかあし、むかし
あるところに、
こころの やさしい
おじいさんと おばあさんが
いました

ふたりは ぶんぼうでしたが、
はたらきもので、
いぬの しろと いっしょに
なかよく くらしていました

あるひ、おじいさんが
はたけを たがやしていると、
しろが きゅうに ほえだしました
「ここほれ わんわん
ここほれ わんわん」

おじいさんは、
ふしぎに おもって
ほってみると…
はたけの なかから
ざっくざく
たくさんのこばんが
でてきました

それを みていたのが
となりに すんでいる
よくばりじいさんです
「うちにも そのいぬを かしてくれ」
と、むりやり しろを つれだすと
えさも やらずに
「さあ こばんは どこだ?
わんと いえ」
と、 せめたてました

「ここほれ わんわん
ここほれ わんわん」

しろが ほえたところを ほってみると
でてきたのは がらくたばかり

「この やくたたずの いぬめが!」
よくばりじいさんは
おこりに おこって
とうとう しろを うちころして
しまいました

「かわいそうなことを してしまったわい」
おじいさんと おばあさんは
たいへん かなしんで
しろを にわに うめました
そして ちいさな まつのきを うえました

すると まつのきは ぐんぐん のびて
すぐに おおきなきに なりました

おじいさんは まつのきで
りっぱな うすを つくりました
「うすも できたことだし
ことしは もちでも つこうかのう」
ぺったん ぺったん
もちつきが はじまりました

すると どうでしょう
おもちの なかから
またも こばんが
ざっくざく

「なんと! また こばんが でたと」
よくばりじいさんは くやしくて なりません
「じぶんばかり いいおもいを しおって
わしにもかせ」
と、 むりやり うすを かりてきました

ところが よくばりじいさんが
おもちを つくと
ぺっとん ぺっとん
でてきたのは やっぱり がらくたばかり
「この くされうすが!」
よくばりじいさんは かんかんです

うすを かえさない おとなりに
おじいさんが たずねてみると
「ふん あんな ぼろうすは
かまどで もやして しまったわい」

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