北陸の雷のなぞに迫る。

7シーズンかけて金沢で冬の雷の観測を続けている大阪大学大学院の和田有希助教は、この冬も雷の観測を精力的に行ってきました。

将来の落雷予知に向けて有意義な研究結果が得られたようです。

冬に雷の発生が多い金沢を「雷の聖地」と呼び、毎年観測を続けている和田助教。

電波のアンテナ装置や放射線を検出する装置を設置し、去年11月から今年3月にかけてのデータを収集しました。

中でも、雷から放射線が検出されるケースを詳しく分析しています。

大阪大学大学院工学研究科・和田有希助教
「雷に関しては冬らしくない。2月はほとんどなかった」

去年11月から今年2月までの4か月間、金沢で観測された雷の日数は29日で、前のシーズンより10日少ない数でした。
今年の2月は2日で、去年の8日に比べ6日少なくなっています。

それでも、和田助教にとって喜ばしいデータがこの冬は得られました。

大阪大学大学院工学研究科・和田有希助教
「合計4回の放射線観測に成功。今まででは2回が最高」

今までにない数の放射線の検出に成功しましたが、特に重視しているのが1月30日の落雷です。
大阪大学大学院工学研究科・和田有希助教
「(金沢市)観音堂の鉄塔が見えていて、左側のから下から上に向かって稲妻がのびていると考えられる。放射線自体は落雷のかなり最初の段階で発生。放射線と電波と可視光カメラ、3台で集中観測、3台のどれでもうまくとれていた」
「放射線と電波のデータがあるが、落雷の放射線と電流(電波)のタイミングがほぼ一致。落雷にともなって放射線が出ているといってほぼ間違いない。世界的に見てもこういう観測ができるのがかなり珍しい」
今回のデータが得られたことで、以前の観測結果がより重要な意味を持つと和田助教はいいます。2018年の1月10日、雷が落ちるより前に検出された放射線がありました。

大阪大学大学院工学研究科・和田有希助教
「上が金沢泉丘高校、下が風下にある金大附属高校。風上にある金沢泉丘高校でガンマ線グロー(放射線)を検出。雷雲が風とともに動き風下の金大附属高校で放射線を検出し雷光が発生。金沢泉丘高校の放射線検出の1分後に雷光が起きたことになる」
このデータでは、金沢泉丘高校で放射線が検出されたおよそ1分後に落雷があったことになります。
「放射線が落雷を予知した」状態だった可能性もあります。

大阪大学大学院工学研究科・和田有希助教
「一番いいデータ、たまたまなのか一般的なのか。観測事例を増やしていきたい。(観測を始めた)2015年~16年は放射線が検出されるかもわからない。少なくとも当たり前に存在するのはわかってきた。なかなかいいペースで研究が進んでいるのでは」

一瞬のできごとの雷を逃さない研究。年を重ねるごとに少しずつ明らかになっているようです。

観測する放射線は2種類あり、今年観測された放射線と2018年のものはそれぞれ違うものです。その特性の違いも踏まえながらおよそ半年をかけて分析し、学会に発表していければと和田助教は話しています。

今後も金沢での観測は続けていくそうですが、落雷の予知が実現する日は少しずつ近づいているのかもしれません。

詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/mro/405808

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